桐島、部活やめるってよ

「桐島、部活やめるってよ」を観た。

なんの変哲もない高校生たちの生活がバレー部のエース桐島が部活を辞めることで少しだけ変化していくというお話。
 
登場人物ごとに視点を変えて繰り返しつつ、感情の機微を表現していくスタイルの映画。
 
神木隆之介が桐島じゃなくてびっくりする程度になにも知らずに観たんだけど、思いっきり好みの映画だった。なにが素晴らしいって何も起こらないのが素敵。特になんもない。
 
桐島辞めて学校こなくなるけど理由もわかんない。前田は映画を撮るけど、桐島なんて眼中に無い。桐島を取り巻く騒ぎなんて知らないし、桐島とすれ違ってもなんとも思わない。
 
前田には彼なりの高校生活があって、それを楽しんでる。だから撮影を邪魔する別のストーリーの登場人物はモブでしかなく、ゾンビに喰われる程度の扱いでしかない。好きだったかもしれないあの娘もワンショットでヒロインぽく演出される程度の扱いになる。
 
でも前田は将来を映画監督かと菊池に聞かれて、それはないと答える。彼にとって映画を撮ることは映画との繋がりを実感するものでそれがたまらないと。
 
それを聞いて菊池は涙を堪えられなかった。自分が野球部に必要とされていなかった悔しさが込み上げたのかもしれない。より正確には目の前にいる誰でもなかった眼を輝かせて話す前田に触れて、自分が辿ってきた高校生活を後悔したんだろう。
 
菊池は桐島に電話する。何を話そうとしたのかわからない。でもきっと桐島には後悔させたくなかったんじゃないか、そうであって欲しかった。
 

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

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