お慕い申し上げます
「お慕い申し上げます」は煩悩は捨てられないが結婚はしない僧侶、佐伯清玄と自分を隅に追いやったライバルを妬ましく思いつづける元マラソンランナー、清沢節子の葛藤を描く朔ユキ蔵の人間ドラマ。
久しぶりに読む朔ユキ蔵の作品。線が綺麗になったなというのが手にとった最初の印象。もう少しもっさりとした絵を書くイメージだったが、いい意味でスタイリッシュになってて嬉しかった。
内容は僧侶ものということもあって煩悩や執着、妬みや嫉みと人間の欲望の軋轢のようなものがテーマ。こう書くと子難しいが、ようはヤりたい女が同じ屋根の下に住んでて悶々とする坊主と手を差し伸べて欲しくてたまらない嫉妬が心を蝕む女のお話。
それにくわえて端正な顔立ちの死ぬのが怖い坊主、高木清徹が節子を揺さぶりこれが清玄に節子を強く意識させることに。
人間関係だけ捉えるとよくある三角関係だけど、寺、僧侶、仏教といった身近でありながら深く知らない環境がこの関係を深く掘り下げる舞台装置としてうまく機能している。ふつう物語では心の機微を淡々と言葉にしていくことは殆ど無いが、本作では説法という道具を用いることで心情の動きだけでなく、どうしてそうなったのか、なぜ悶々としているのかを言葉にしている。それがいまのところ成功しており、より深く人間を描くことに成功しているように思う。
2巻まで読んだ時点ではマラソンランナーとしての節子は語られていないが、どのような切り口で描かれるのか楽しみである。
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